昔好きだったコトを中心に、思い出しては綴ってます
by fan-an
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一番大切な外国人 その① ---  アメリカ

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誰でも自分の人生を振り返ると、影響を受けた人とかお世話になった人とか、忘れられない大切な人たちがいると思う。 そんな人たちの中から、私にとって一番大切な外国人について書く(長くなりそうなので何回か続く)。

今から15年ほど前、私は初めて留学をすることになった。 場所はアメリカ。
理由は簡単、英語が嫌いで全く話せなかったから。
毎年何人かが学校の留学プログラムで交換留学をしていたので、英語が苦手な割には、行ってしまえば何とかなるだろうとタカをくくっていた。 アメリカで1年過ごせば、苦手な
英語も楽に克服できるだろうと甘い考えを持っていた。
そしてある年の夏。 数回にわたる研修を終えた私は、希望をいっぱい抱えてアメリカは
カリフォルニアに到着した。

この交換留学プログラムでは、この団体の全世界の支部に登録された学生のプロフィールを見て、ホストファミリーを希望する家庭が、予め世話をしたい学生を選ぶ仕組みになっている。 学生からホストファミリーを選ぶ権利は一切ないので、どんな家庭に選ばれるかは運任せである。
そんな私を選んでくれたのは、カリフォルニアの北部、サンフランシスコから約1時間の街に住むある家庭だった。 けれど私は、ここである精神的ショックを受け、申し訳ないことに1ヶ月後にホストチェンジを希望した。 この件に関しての詳細や経緯は支障がない程度に改めて書きたいと思うが、簡単に言うと、もともとホストをしたい家庭ではなかったそうだ。 ホスト希望の家庭が少なかった為、気のすすまないまま受け入れを決めたようで、結構
迷惑だったようである。 つまり私は望まれぬ客だった。
そんなわけで、当時全く英語を喋れない私が、たったひとりで重いスーツケースを引きずって、カリフォルニアの北部から列車と長距離バスを使って、南部の私を待っていてくれる新しい家庭を目指して下って行ったのである。

あの時のホストチェンジの旅の気持ちを、今思い出してみた。
最初の家庭で幸せそうに新しい生活を始めた仲間もたくさんいるのに、どうして自分だけこんな目に合っているんだろう。 私は相当運が悪いのではないか。 これから一体どうなるのだろう・・・不安で胸がいっぱいだった。 けれど、あの家にこれ以上はいられないと思っていた。 あそこ以外ならどんな家でもいいと思った。 だから、まだ見ぬ新しいホストファミリーに勝手な期待を膨らませ、何とか気持ちを切り替えようと必死だった。
乗り換え駅と降りるターミナルを書いたメモをボロボロになるくらい強く握り締め、涙が滲み出てくるのを何とかこらえ、窓に映る景色に目をやった。 さっきまで林や畑など緑の多かった大地が、いつのまにか茶色の土がむき出しの大地に変わっていた。 その茶色の大地にぽつぽつと、白い塔が数十本、立っていた。 よく見るとそれは、三方に翼のついた風車だった。 何だかえらいところに来てしまったなあ・・・更に不安がよぎったが、それでも気を取り直し、降りるべきターミナルに到着するのをじっと待った。

それからしばらくして、ようやくバスは目的地に着いた。 きっと新しい家族が待っていてくれるはずだ。 よいしょ、よいしょ、とスーツケースを運びながら、自己紹介の言葉を何度も頭で繰り返してターミナルの建物を出た。 けれどその小さなターミナル付近には、人っ子ひとりいなかったのだ。 心臓がちょっとバクバクする。 まいったな・・・、もしかして降りる場所、間違えちゃったんだろうか。 けれど、しわくちゃになったメモに記された町の名前は、確かにそのターミナルと同じ名だった。 しかたがないので、ターミナルの建物前の目立つところにスーツケースを置き、その上に座って待つことにした。

足をぶらんぶらんさせながらあたりを見回すと、そこはまるで西部劇の舞台のようだった。 遠くには木一本無い禿げ山がそびえ、茶色の大地にほとんど葉がない枯れたような低木が、ぽつんぽつんと植わっている。 民家なんか全く見当たらない。 ただただ線路がずーっと地平線の先まで続いているだけだ。
ここで1年過ごすのか・・・・・。 複雑な思いが錯綜する。

そこは死の谷、デス・バレー。 ロサンゼルスからラスベガスに向かう“ルート66”のちょうど真ん中に位置する、ドライブの休憩地点としてだけ有名な小さな砂漠の町だった。
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by fan-an | 2006-03-02 22:58 | 外国・外国人
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